
あきらめて人生が好転した経験をインタビューしています。
「あきらめるってどういうこと?」と思われたかたは、こちらのページをお読みください。
今回お話を伺ったのは、株式会社リレーションズの泉 穂久斗(いずみほくと)さんです。
医療用AIシステムの販売事業の責任者として、関東を中心とした病院への営業と、営業メンバーのマネジメントをされています。
前職はプルデンシャル生命のライフプランナーとして、フルコミッション(完全歩合給)の保険営業を経験。
また、カヌーが好きで、学生時代はカヌーに没頭する日々だったそうです。推薦で日本体育大学に入学し、カヌー部に所属してインカレ(全日本学生選手権)にも出場しています。
プライベートでは2年前にご結婚。学校教諭をされている奥さまとは、なんでも相談しあえる素敵な関係を築いているそうです。
華々しい経歴をお持ちの泉さんがあきらめたことは、意外や意外!「理想の自分になる」ことだそう!
きっかけは、保険営業時代にアポイントがまったく取れていなかった時のことでした。
フルコミッションの世界で入って半年経つのにも関わらず、商談のアポイントが実質0件。せっぱつまった泉さんは、社会人としてあるまじき行動に……。
でも、「この経験がなかったら、僕は今でも結婚してないね。」と、泉さんご自身がお話されるほど大きなできごとだったそうです。
泉さんが「理想の自分になること」をあきらめた背景には、なにがあったのでしょうか?
泉穂久斗プロフィール


株式会社リレーションズ 泉 穂久斗
埼玉県さいたま市生まれ。
学生時代はカヌーに没頭し、日本体育大学カヌー部に所属。インカレ(全日本学生選手権)にも出場するが、華々しい実績を残す部内メンバーとの比較に悩み、一度カヌーから離れる。
新卒では介護職員を経験。
その後、ヘッドハンティングを受けプルデンシャル生命に就職。フルコミッション(完全歩合給)の世界へ飛び込む。
現在は株式会社リレーションズにて、医療用AIシステム販売事業の責任者として、営業とマネジメントに従事。
学校教諭をしている奥さまとは、なんでも相談しあえるとても良い関係。大学時代にやめたカヌーは社会人チームに所属して再開し、現在はチーム監督としても活動中。
あきらめのきっかけは上司からの意外な言葉
えり どうぞよろしくお願いいたします!
でも、そもそも泉さんってお持ちですか?「あーもう、俺ダメだ…」みたいな感じの、あきらめたこと。
泉 そんなんしょっちゅうだよ。笑笑笑
えり え?ほんと?!笑
泉 いろいろあるけど…。プルデンシャル生命をやめたことは大きかったかな。
プルデンシャルに入って成績も出なくて、4年目でやめたんだけど。
この世界がどういうものか、4年目に「無理だな」って気づかされて。 前々から思ってたんだけど…。
えりちゃんのプロフィール記事にあったじゃん。「バリバリのキャリアウーマンになろうとしていたけど、そうじゃなかった」っていうやつ。
僕も自分に対して「できる人」っていうイメージを持っていたけど、捨てたよ。
えり あははは。笑
泉 えりちゃんのプロフィールを見て、「確かにな。笑」って思った。
入社して半年経つのにアポが0件!理想と現実の乖離に苦しむ日々
えり 「できる人」、つまり「自分はすごいできるビジネスマンになる」というセルフイメージでしょうか。それを捨てるできごとって、あったんですか?
泉 まず、入社半年目の時点でアポが1件しか取れてなかった。
プルデンシャル生命って、フルコミッション(完全歩合給)なんだよね。自分でご契約をいただいた分しか報酬はいただけない。ご契約が0だったらいただける報酬も0。
そんな環境なのに、入社して半年の時点でアポが1件。そのアポも、商談を断られた高校の友人とご飯に行くっていうアポイント。「保険のことはおいといて、ご飯食べようよ」ってやつ。笑
えり 笑
泉 案の定、所長にめちゃくちゃ怒られたんだよね。「お前、どういうことだ? どうするんだ?」 みたいなこと言われて…。
それで、その時に「もうどうしようもないなー」と思って、現実逃避しようと…。弱いよね、今考えたらね。笑
今は笑い話だけど、当時は周りから「お前は価値がない」って言われてる気がして…。
友達もそうだし、その辺の通行人からも。周りの目が本当に嫌で、病院に行ってたら鬱とかって言われてたかもしんないね。 笑
……でね。
僕がとった行動なんだけど…。
会社の近くのホテルに入って、スマホの電源切って、翌朝のミーティングに出ないっ!


えり …えー!
泉さんが、そんなことしたんですか!笑笑笑笑笑笑笑笑
泉 そう!笑笑笑笑笑笑笑笑
で、所長からホテルのロビーに電話がかかってきてね。ホテルスタッフさんから「所長から連絡がきています」って言われて、「わかりました」って電話に出たら…
「お前どこにおるんじゃ?」って。
いいや「どこにいるんだって?」って、電話かけてるじゃん。笑
えり 笑
泉 「お前、3分でこっちに来い!」って言われてね。会社から2分ぐらいのホテルにいたから。笑
えり 笑笑
「自分はできる」と思うことをあきらめた瞬間
泉 それで支社長室に呼ばれて。めちゃくちゃ怒られるかなと思っていたら、淡々と「お前それでいいのか?」って。
「お前がそういう考えで、他人がどれだけお前のことを心配してるかわかんないから、営業がうまくいかないんだ。自分だけで完結するな」と。
「周りの先輩たち、めちゃくちゃ心配してんだぞ。そういうのを感じられないからお前はダメなんだ」って言われて。
それを聞いた瞬間「あー、そういうことか」って思ったんだよね。
支社長室から出たら仲のいい先輩が「お前、悩んでるんだったら話聞くよ」って言ってくださって…。
こんなに真剣に考えてくれる人がいることに気がつけなかった自分の行いはめちゃくちゃ悪かったなって思って。
そっから変わったんだよね。
えり へぇ〜。
泉 悪い習慣を手放さなきゃいけないっていうのと、自分を変えなきゃっていうあきらめ。
今の自分じゃなくて、「他人の気持ちがわかるような人間にならなきゃな」っていうところ。
「自分はできる」って思ってたから、今までの自分でいいとずっと思ってたんだよね。
介護職の仕事はまあまあできていたし、当時の係長から「がんばって私たちのところ(係長の役職)まできてね。」とか、そんな感じのことも言われていたから。
でも、プルデンシャルに入ったらできないことだらけだし、みんな頭もいいし。
「できると思っている自分を手放そう、あきらめよう」って思った。ちゃんと自分のことを見て、できない自分を変えていこうって思った。
所長とか支社長からは「お前はコミュニケーションとるの下手だ。会話もできないし、話もできないし、話を聞くこともできない。そこを認めろ」って言われて。
この一件で、「あ、そうだな」って感じるようになったよね。


人の言葉に耳をかたむけて気がついた、あきらめの大切さ
「できるな」って思ってる自分をあきらめた。ただ、「できる人と比較する必要もないな」とも思って。
えり ふんふん。
というのも、プルデンシャルの支社の中で「メンバーの良いところを書こう」という取り組みをしたことがあって。
「みんなどんなこと書いてくれるのかな」って思っていたら、「優しい」って。昔から言われることが多かったんだけど、ありがたいなって思って。
他には「人を呼ぶ力がある」とか。
えり あ〜。泉さんに対してそのイメージ、私もあります。
泉 僕は思ってなかったんだけどね。「そっか」って。
「毎月なんかの飲み会を企画して、人を呼んで…。それをずっとできている、普通の人はできないよ。それは強みだよ」って言われて。
「あ、なるほどね」と。
その時に、自己評価と他人の評価ってずれがあって、他者評価にヒントがめちゃくちゃあるんだなって気がついてね。
自分の理想はあったほうがいいかもしれないけれど、強みの方を活かせるように理想は捨てよう、あきらめようって。
「強みの方を活かそう」って思って、交流会を開いたり人を集めたり、そういうのをやってきたよね。
えり 泉さん、福祉業界の交流会とか開いてましたもんね。
泉 そうそう。今の会社に転職してからも2〜3ヶ月に1回とか、自分の家で鍋パーティーとかしてたし。今はコロナだからできなくなっちゃったけど。


プルデンシャル生命で働き続けるのはあきらめよう
えり 入社半年でそういう大きな発見をさせてもらえた職場なのに、4年目でやめようと決めたのは、なにかきっかけがあったんですか?
泉 えーっと、一番は結婚。 照
えり あー。言ってましたね。笑
泉 結婚を決めた時に「このままじゃまずい」って思ったんだよね。
そこで「プルデンシャルでもう1回がんばろう!」っていう人と、「安定を求めて違うところに転職しよう」っていう人がいて、僕もどちらにしようか天秤にかけたのね。
でも、このままだと「迷惑かけるな」って思ったの。
えり 奥さまに?
泉 奥さんもそうだし、家族にもね。自分のお母さんとかお父さんとか妹とか。迷惑かけちゃう可能性が出てくるからね。
結婚したら相手の親にも迷惑かける可能性があるから、ちょっとそれは違うなと。自分のわがままだけでやっていていいわけじゃないし。
今まで思うような結果が出なかった人間が、次の年から急に結果が出るようになるなんて想像ができなかったから、「プルデンシャルはあきらめよう」って。
結婚がきっかけかな。
えり そうだったんですね。でも泉さん、相変わらずプルデンシャルの営業マンみたいなオーラ出してますよね。
泉 そうね。ありがたい話で「見た目をしっかりしなさい」とか「時間は守りなさい」とか。プルデンシャル時代に徹底的にやってもらったから、今でも生きてるよね。
…本当にありがたいなと思う。


「できる人」ではなく、「一緒にいて良かった」と思われる人に
えり この先の展望ってなんですか?
泉 2つあって。
1つは、結婚してまだ子供もいないけど、家族もできてくるだろうしっていうところで。「家族を幸せにしたい」っていうのが大前提にあって…。
自分の人生、最終的にどうなっていたいかっていうのを考えたんだよね。
自分が死ぬ時、あるいは僕の奥さんが亡くなる時に「一緒にいて良かったな。出逢えて良かったよ」って思ってもらえるような人間になりたい。これが人間的な目標。
じゃあ、「そのためにどうするか?」っていう、手段の話になってくるんだけど。
時間とお金が使えるように、僕が関わっている「医療用AIシステムで稼ごう」とか「マネジメントの技術を磨かなきゃな」とか、そういうのもやっていきたい。
最終目的は「家族を幸せにする」。奥さんに「一緒にいて良かった」って言われるような人になりたい。
えり うんうん。
どうしてもあきらめきれない、次世代に伝えたい思い
泉 もう1つは、教育。
カヌーのおかげでここまでやってこれから。埼玉県と、パドルスポーツに貢献したい。
えり パドルスポーツ?
泉 カヌーのこと、パドルスポーツっていうの。それに貢献したいっていうのがあって。なんだかんだ、水辺に出るの好きだったし、カヌー好きだったから。
今は社会人チームに入ってドラゴンボートっていう競技をやってるんだけど、コロナが流行る前の一昨年に、全日本で3位をとったんだよね。
プルデンシャル生命入社後は練習や試合に参加できなかったんだけど、入社前は日本1位もとっていたから。ちょっとそこはあきらめきれないな〜っていうのがあって。
コロナになっていなかったら、日本代表になるチャンスもあって、海外遠征に行けるかもしれないっていう候補にも入っててさ!
えり え〜!!
泉 それができなくなっちゃったから、あきらめきれないっていうのがあるよね。そのパドルスポーツの発展のために、成績を残したい。


泉 あと、中高生や大学生へのカヌーの指導もやりたい。そこからオリンピック選手もだしたいなって思う。目的・目標の大切さも伝えたい!
学生時代の僕は持っていなかったんだよね。目的・目標っていうのを。
ないならないなりに勉強しろって話なんだけど、学校で習わないじゃん。
えり 基本的には、目的・目標っていう概念を持っていませんよね。あの年齢の時って。
泉 そうそう!概念がないじゃん。
妻が学校の先生なんだけど、「勉強がつまらない」とか「なんで勉強するのかわからない」って生徒から言われる時があるんだって。
それを言われる理由って、「生徒さんに勉強する目的がないからじゃないの?」って思うんだよね。
「なんで社会の勉強しなきゃいけないの?」「なんで算数の勉強しなきゃいけないの?」って思う理由って、目的がないからじゃない?
例えば、生徒が「サッカー選手になりたい」ってなった時に、スポーツだけしていればいいわけじゃないじゃん。
「点数を何点入れたか」っていうのは算数の勉強だよね。「何本シュートを打って、何本パス出して、何本成功した」っていうのは算数の勉強だよね。っていう紐づけをしていかなきゃ。
そこで初めて、「今日は割り算やりましょう」「今日は掛け算やりましょう」っていう話になると思うんだよね。
目的・目標っていうのをしっかりと考えられる人であれば、スポーツでも成功するかもしれないし、社会でも無駄にならない。
僕は目的・目標っていうのが考えられなかったから。それを伝えられるように、カヌーの指導の中でやっていきたいなって思う。
その2つかな。


大切な人たちからの後押しで新たな挑戦へ
えり あー。泉さん、人に教えるの向いてそうですもんね。
泉 それはね、プルデンシャル生命の支社長にも言われたんだ。
プルデンシャルの時に、「所長になるためにがんばってみないか」って言われたんだ。目標を持たせたかっただけかもしれないけど。
結局、営業成績がまったく残せなくて、所長基準までいかなかった。笑笑
えり でも、そんなお世話になった方に言われるってことは、やっぱり向いてるんですね。
泉 そう、それは本当に嬉しかった!
今の会社の部長にも、「マネジメント側に回れ」って言われてて。
あと、妻にも言われる。「学校の先生に対して教えてほしい」って。
ありがたいよね、そう言ってもらえるのはね。
えり そんな身近な人、3人から言われたらやりますよね。
泉 そう、ありがたいなって思って。
あとね、所属しているドラゴンボートの社会人チームで「監督をやってほしい」って、監督にも就任させていただいて。
えり へー!
泉 ありがたい話だよね。
妻に「監督の話がきてるんだけど、どう思う?」って聞いたの。そうしたら「できない人にはそういう話はこないんだから、やってみれば」って言われて。
えり うんうん。いやー、なんかいいですね!奥さまとの関係が!
泉 そうそう。うちの奥さんすごいなと思う。
プルデンシャルをやめる時も、否定も肯定もしなかったし。「どっちでもいいじゃない。好きなことやったら」って言ってくれて。ありがたい話ですよ…。


同じ立場になって初めて気がつく。あの時、お世話になった人の気持ち。
えり 最後に一つ、いいですか?
泉 なになに?いいよ!
えり 泉さんがプルデンシャル生命に入社して半年目の時に「俺、できないな」って思ったって言ってたじゃないですか。
それ以前の、自分に対するイメージってどんな感じだったんですか?
泉 あ〜!どうだったかなー?
「俺は頭がいい」って勘違いしてたね。
えり 頭がいいって、具体的にはどういうことですか?
泉 言われたことに対して「すぐに理解できる」とか、「こういうふうなことかなって想像できる」とか。できると思ってたね。
あとは「効率よくやれる」とか。
介護職って、人のペースに合わせながらも効率よくやらなきゃいけないところがあるからさ。そういうことができると思ってたね。
あと、コミュニケーション能力が高いと思ってた!マジで勘違いしてたっ!めちゃくちゃ低いのに…。
えり へぇー!
泉 今は「コミュニケーション能力高いですね」とかって言われるのよ。でも、今でも僕はまったく高いなんて思ってない…。
えり う〜ん…。泉さん、高いと思うけどね。笑
泉 今は良くなったかな…?
この前、プルデンシャルの時の所長に「人間じゃなくて動物レベル」って言われたよ。
直近だと「人間の『に』ぐらいにはなったかな」って。笑笑
えり へぇー。笑笑
でも、気がついたことがあって…。
僕がプルデンシャル生命に入社した時の所長の年齢って、今の僕と同じなんだよね。
僕が26、7歳で入社して、所長は31歳とかで所長になってて。
今、僕はその時の所長と同じぐらいの年齢でマネジメントする立場にいるんだけど。「あの時の所長と同じこと言ってるな」って思うんだよね。新人の子に対して。
所長も僕に対して、こんな気持ちで言ってたんだろうなって…。
当時の所長に対する僕の態度を振り返って、「そりゃムカついたよな」って思ったよ。所長、よく耐えてたなと思う。笑
えり へぇー!笑
泉 そういうことを、最近すごい思う。
えり あー、そうですよね。その立場になってみないと、わからないですよね。
泉 うん、わかんない。
いい意味で、自分のプライドをぶっ壊してもらえたから良かったと思う。
ここでぶっ壊してもらえってなかったら、今も俺は結婚してないね。
奥さんがあの頃の僕と会って話してたら、絶対ムカついてたよ。…結婚してないと思う。


えり …よかったですね。所長に感謝ですね。
泉 いや、本当に。所長に感謝。プルデンシャル生命に感謝ですよ。
えり そうですね。ありがとうございました!
理想の自分になることをあきらめて手に入れたのは、自分の良さを見出してくれるかけがえのない繋がり
「理想の自分」になることをあきらめて、「できない自分」を受け入れた泉さん。
周りの言葉に耳を傾けたことで手に入れたのは、本人以上に泉さんの良さを見出して、次のステップへ導いてくれるかけがえのない繋がりでした。
会社の上司や先輩、パドルスポーツの仲間、そして最愛の奥さま。
インタビューの後半「ありがたい…」と、何度も口にしていた泉さんは、ほっとしたような愛おしいような温かい表情を浮かべていました。
「できる」と思っているからこそ、周りの言葉を素直に受け取れなかったり、できない部分に気がつけなかったりすることって、ありませんか?
でも、実はあなたの本当の良さは、その気がついていない部分にあるかもしれません。
あなたの周りの大切な人が投げかけてくれる言葉は、どんな言葉でしょうか?
その言葉に耳を傾けることで、あなたはもっとあなたらしく、自分が望む未来へ舵を切れるかもしれません。